彼方に広がる宇宙の神秘。

数千年前から人類はその謎を解こうとしてきました。

今回研究の中心的な役割をになった、国立天文台水沢の本間 希樹(ほんま まれき)教授を含む日米などの国際研究チームが

おとめ座の中のブラックホールの観測に人類で初めて成功し、2019年4月10日写真を公開しました。

■ブラックホールとは何か、簡単に説明。

ブラックホールとは?

ブラックホールは様々なテレビや映画、アニメに登場し、あらゆる物を吸い込む姿が有名です。

しかし誰もその実物の姿を見た事が無く、本当に存在するのか確証もありませんでした。

今まで私たちが見てきたブラックホールの様々な画像は想像図でしかなかったのです。

人類は100年間物理会社も天文学者も見つけられない状況が続いていました。

なぜならブラックホールは極めて高密度・大質量で、重すぎる重力のために、物質はもちろん光さえも入ったら出てこれない天体だからです。

段私たちが目で見ているのは物体に反射した光です。

ところがブラックホールの場合、重力が大きすぎて光までも吸い込まれてしまい、光を反射しないので「目で見る事は不可能」です。

普段私たちが目で見えているのは物体に反射した光、ところがブラックホールの場合、重力が大きすぎて光までも吸い込まれてしまいます。

ブラックホールは謎に包まれた、宇宙に浮かぶ奇妙な物体です。

ではどのように誕生し、内部はどうなっているのでしょうか。

また、「目で見る事は不可能」なブラックホールをどのように見つけたのでしょうか。

ブラックホールはどの様に誕生するのか?

詳細は未だに解明されていませんが、以下の様に想定されています。

「超新星爆発」が大きく関わってくる、死んだ星の残骸。

ほとんどの星はガスのカタマリのような物で、ガスの核融合反応により光って見えます。

自らのエネルギーで輝く星を恒星地球の様にそれができない星を惑星と呼びますが、恒星の中で核融合による燃えカスが溜まると星のバランスが崩れ、重力が増していきます。

そしてその重さに耐えきれなくなると、中心部は一気に破壊をし、大爆発を起こします。

これが超新星爆発です。

太陽の質量の約30倍以上の思い星が超新星爆発を引き起こすと、その中心にブラックホールができると言われています。

超新星爆発とは、星の死にあたり、ブラックホールは死んだ星の残骸の様な物です。

 

ブラックホールの内部は?

未だ謎が多いブラックホールの内部。

どんな強力なエンジンを開発しても、一線を越えてしまうと、戻ってこられないのがブラックホールです。

ある半径より内側では、光速以上の速さであり、この半径を「シュヴァルツシルト半径」と言いますが、この中からは、光であっても出てくることはできません。

更に内部には「特異点」と呼ばれるものがあり、ここでは重力が無限大になります。

ブラックホールはあらゆる制限や法則を超える未知の存在で、現代の科学や技術をもってしても観測・解明が難しく、未だ多くが謎です。

今回「目で見えない」物をどうやって見つけたのか?

世界6カ所の望遠鏡を使って人類初の試みが生んだ奇跡。

今回観測されたブラックホールはおとめ座にあるM87銀河のブラックホールで、地球からの距離は約5500万光年もあります。

ブラックホールの周りにガスがあってそれが光を出す。

その光を観測する事でブラックホール自身が黒い影として見える

この影を捉える事ができればブラックホールが見えたのと同じ事になるという考えでした。

見えないはずのブラックホールを見る一体どんな方法なんでしょうか。

そこで考えられたのは、世界6カ所にある電波望遠鏡を使う方法です。

アメリカ、ヨーロッパ、南米、南極にある望遠鏡をつなぐ事で、地球そのものを1つの望遠鏡にし、ブラックホールの姿を捉えようとする人類初の試みです。

 

これがどれくらいすごい事なのかというと、日本の国立天文台にある直径20m望遠鏡単体だと、視力0.5程度ですが、

地球全体にある望遠鏡を組み合わせる事で視力が300万になります。

視力300万とは分かりやすく言うと月に落ちているゴルフゴールが地球から見えるほどです。

ただ、観測は想像以上に困難で全ての望遠鏡が使用できる期間は5日間しかなく、その日に好天に恵まれなければいけないのです。気候も全然違うし、北半球と南半球で季節も違う中、今回は奇跡的に観測は大成功でした。

また、ここからが大変で、観測した資料が膨大過ぎてこれを集めるのに1年以上かかり、データが揃ったのが2018年6月。

そこから解析作業が始まり、解析作業を続ける事1年近くがかりでやっと今回の発表に至りました。

 

人類初!ブラックホール写真!!

これが実際に発表された写真です。

人類が初めて目にしたブラックホールの姿です。

赤く光るガスの中に、ハッキリと黒く丸い影が映っています。

5500万年前の宇宙に存在していたという証拠です。

また、解析した結果リングの直径は約1000憶キロで、ブラックホールの質量は太陽の約65憶倍だと算定できるとの発表もされています。

今後の課題や研究について

「ブラックホールができ、そこで銀河ができ、その中で星、太陽、地球ができた」その一連の流れをひも解く事がこれからの天文学の課題になります。

また、アインシュタインの一般相対性理論でも、ブラックホールについて語られ、ブラックホールには変わった性質があると言っています。

重力は時空を曲げるとされていますが、重力が強力なブラックホールは時空の架け橋となる可能性があるのです。

「ブラックホールに吸い込まれたものが、ホワイトホールで吐き出される」

「宇宙には時空をつなぐトンネルのような、ワームホールというものがある」とされています。

ワームホールとは「時空のある一点」から「別の離れた一点」へと直結するトンネルの様な物です。

本当に実在すればタイムトラベルも可能になるかもしれませんが、この説は今のところ単なる推測にすぎません。

いつか謎が明らかになり、別次元に繋がる扉が見つかる日がくるのでしょうか。